逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第17話

 こだわりの工程があるとかで、お好み焼きはすべて蓮さんが焼いてくれた。

 私は、食後のお茶係と洗い物係を引き受けたけれど、蓮さんも「手伝うよ」と言ってキッチンに残った。

 私が洗った皿の水滴を、蓮さんがリネンで拭き取り、食器棚へと戻していく。その合間に彼は、ルイボスティの用意までしてくれた。

 だけど、作業の間に交わす言葉には、いつもの軽やかさがなかった。蓮さんが何かを考え、それを私に伝えるべきか悩んでいる……そんな気がした。

「さっきの広瀬さんだけど」

 蓮さんがおもむろに切り出す。

「彼女は、会社の同僚なんだ。仕事はできる人なんだけど、仕事以外ではあんな感じで……」

「……うん」

 美しい同僚からボディタッチされて喜ぶ男性もいるかもしれないが、蓮さんがそういうタイプではないことは、この1ヶ月の生活でわかっていた。

「でもやっぱり、付け焼き刃の婚約者だと、不自然に見えるのかな……。少なくとも彼女は気付いていたと思う。僕たちの間の雰囲気が、恋人じゃないってことに」
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