逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第18話

 翌朝、木陰から漏れて揺れる太陽の眩しさで、私は目を覚ました。

 隣を見ると、蓮さんの姿はもうない。彼が寝ていた部分にそっと手を伸ばすと、かすかな温もりだけが残っている気がした。

 昨夜、蓮さんの腕に包まれて眠りについた胸の高鳴りを思い出しながら、それでもぐっすり眠れた自分の図太さに、思わず笑ってしまう。おそらく、いつもより心地よい眠りだった。

 キッチンから聞こえてくる、ボウルをかき混ぜる菜箸の音と、かすかに漂う出汁の香り。たぶん、いつもの薬味入り厚焼き玉子だ。

 バスルームで顔を洗ってから、私はダイニングへ向かった。

「おはよう、蓮さん」

 キッチンのカウンター越しに声をかける。振り返った蓮さんの微笑みが、朝の光に照らされてさらに輝いて見えた。

 その瞬間、昨夜の記憶がよみがえり、私はなんだか照れて俯いた。

 たしかに、恋人の雰囲気に近づくのには成功したかもしれない。恋人たちがベッドの中でするようなアレコレは、何ひとつしていないんだけど。
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