本当の愛を知るまでは
後悔と寂しさの中で
それから数日経っても、花純と千鶴の仲はギクシャクしたままだった。
仕事に必要なやり取りはするが、以前のように明るく会話をしたりは出来ない。

花純は毎日、後悔の念に駆られた。

(どうしてちゃんと千鶴ちゃんに話さなかったんだろう)

だがあの時は、お試しでつき合い始めてちゃんとした恋人同士だという自覚もなく、寂しさと不安に悩む日々だったのだ。

(それでも話しておけば良かった。千鶴ちゃんとこんなふうに気まずくなるなんて……)

同期として入社して以来、何でも相談出来る親友だったのに。
もう以前のようには戻れないのだろうか。

(そんなの嫌。こんなことになるなら、私……)

ーー恋愛しなければ良かったーー

思い浮かんだその言葉は、花純の心を一気に凍りつかせた。
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