知らずに双子パパになっていた御曹司社長は、愛する妻子を溺愛したい

第五章　蒼穹

　聳え立つ高層オフィスビルビルの中に足早に入ると、受付嬢が立ち上がり最高礼をして出迎える。社員たちも俺に気が付くと足を止めて礼をした。
　そんな仰々しく接しなくてもいいのにと思うが、先代からの風習が抜けきらないのだろう。

　ロビーで俺の到着を待っていた秘書は、すぐにエレベーターボタンを押す。俺がロビーを横切りエレベーター前に着いたところでドアが開いた。
　秘書が最初に乗り込み最上階のボタンを押す。

　密室の空間で、秘書は口早にスケジュールの変更などを流れるように伝える。今日は一日社内で仕事の予定だったが、それが急遽変わったので、秘書たちも臨機応変に対応してくれているようだ。

　最上階に着くと、秘書室のメンバーが立ち上がった。現在秘書室には、数十人ほどの社員がいる。社長だけでなく役員も数人ずつ秘書を従えており、特定の人物に仕えるだけでなく、業務内容によって、管理職や経営陣の総合的なサポートをしてくれている。

「おかえりなさいませ。本日は出社なさらないと思っておりましたのに、大変でございますね」

　金子が秘書室の奥から出てきた。
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