知らずに双子パパになっていた御曹司社長は、愛する妻子を溺愛したい

第一章 黎明

彼の第一印象は、正直にいってあまり良いものではなかった。

「ボランティアに参加しようと思ったのは、海外留学のためです」

 その場が一瞬にして凍りつきそうなことを、平然と言ってのけた無神経さに呆気に取られたからだ。
 東京大学の院生で、高身長に甘い顔立ち。
 少し鋭さのあるアーモンド形の瞳は、吸い込まれそうなほど印象的で、高く整った鼻梁と、真一文字に結んだ薄い唇が高貴な雰囲気を醸し出している。
 重めの前髪を眉下まで垂らし、ウェイト高めのさらりとした黒髪が、ミステリアスな印象を与えている。
 初めて見たときは、その圧倒的な存在感に度肝を抜かれ、あまりの美貌に息を飲んで魅入ってしまった。
 けれど、児童養護施設の職員の方から彼を紹介され、初めての挨拶がさきほどの言葉だったので、一気に好感度は下降した。

 彼の名前は、高御堂(たかみどう)颯士(そうし)
 MBAを取得するため、アメリカの名門大学に今秋から留学が決定しているらしい。そのため、大学の夏休み期間にボランティアをしようと思い立ち、児童養護施設の学習ボランティアに応募したのだという。
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