残念姫、王子に溺愛される
変化と友人
新学期が始まり、恋羽も大学が始まった。


歩稀と一緒にマンションを出ると、真田が待っていた。

「歩稀様、恋羽様。
おはようございます…!」
丁寧に頭を下げて、後部座席のドアを開けた。

「真田さん、おはようございます!」
「おはよ。
真田、恋羽のこと頼むね」

「はい、心得ております」

「恋羽、俺との約束守ってね?」

「うん、わかった!」
微笑み頷くと、歩稀は満足したように恋羽の頭を撫でた。

恋羽が車に乗り込み、走り去るのを見送ってから、歩稀も地下駐車場に向かった。


「―――――歩稀様との約束とは、どんなことなんですか?」
運転しながら問いかける、真田。

「あ…
大学を一歩でも出る時は、必ず真田さんを呼んで送り迎えしてもらうようにと……
絶対に、一人にならないように言われました(笑)」

困ったように笑うと、真田も「そうですか(笑)」と微笑んだ。

「僕も、恋羽様の身の回りのお世話を仰せつかりました。
ですので、何かあったら僕に連絡してください!」

「あ、はい」

「ちなみに、一時期緋月さんに送り迎えしてもらっていたと聞いたのですが…」

「あ…大学一年生の途中から、二年生の時です。
ある方に騙されて、色々あったもので……」

「そうだったんですね…
申し訳ありません。
辛いことを思い出させてしまって」

「あ、いえ!
大丈夫です!
それに今は、歩稀さんがいてくれるので幸せです!」

微笑む恋羽。
真田も(ほんと、素直で真っ直ぐな人だ…!)と、バックミラー越しに微笑み返した。


大学に着き、車の前で見送る真田に丁寧に頭を下げる恋羽。
「真田さん、ありがとうございました!
また、ご連絡させていただきますね!」

「はい!
どうか、遠慮はなさらずに!
歩稀様を怒らせますので(笑)」

意味深に笑うと、恋羽も微笑んで「あ…そうですね(笑)」と言った。

「では、真田さんお気をつけて!」
再度頭を下げ恋羽は、大学内に入っていった。

「いってらっしゃいませ…!」

真田も丁寧に頭を下げ恋羽を見送り、車に乗り込んだ。
そして、歩稀にメッセージを入れた。

【今、大学にお送りしました】

送信し「………ほんと、過保護ってゆうか…監視だよな、これ…」と一人呟いて、苦笑いするのだった。


< 36 / 48 >

この作品をシェア

pagetop