残念姫、王子に溺愛される
前進と未来
それから――――二次会は解散し、マリホとタツシと五人でカフェに向かった。

そこで、緋月から出生の事実を知らされた。


「そうだったんだ……」
恋羽がポツリと呟く。

「びっくりだよ…
おじさんに反対されるなんて、思いもしなかったから……(笑)
むしろ、喜んでくれるって思ってた」

「まぁ…そうだよな…(笑)」
「なんか、エグいな…(笑)」
歩稀とタツシも、苦笑いをする。

「でも……
それでも、感謝はしてる。
“恋羽に出逢えたからね……!”」

「緋月くん…!」
頭を、くしゃくしゃと撫でる緋月に微笑む。

「ちょっと!
緋月!必要以上に、俺の恋羽に触るな!!」
恋羽を抱き寄せ、守るように緋月を睨み付ける。

「良いでしょ?
妹なんだから!」
「良いじゃん!妹なんだから!」
緋月とタツシが笑う。

「………あ!!」
そんな中、歩稀の腕の中で恋羽が声を上げた。

「ん?恋羽?」
「どうしたの?恋羽」
「恋羽ちゃん?」

「てことは、マリホさんは!?
マリホさんは、それをわかってて緋月くんと結婚を?」

「あー!そうね(笑)
私と緋月、契約結婚なの」

「へ?
契約?結…婚?」

「えぇ。
私もね。
他に好きな人がいるの。
でも、想いが叶わない人」

「そうなんですか…?」

「うん。
友達としては、緋月のこと好きよ!
優しいし、器用だしね!
緋月とだったら、それなりに幸せな家庭を築けそうなの。
だから、私達は結婚したのよ」

「緋月くんも?」

「そうだよ…!」

「“これが”緋月とマリホの“夫婦の形”ってことだな!」

タツシの言葉に、緋月とマリホが微笑み大きく頷いた。

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