純恋〜ひとつの光〜
動き出す時間
♦︎♦︎♦︎

「青葉? 青葉じゃん! 俺だよ、俺! 太一!」

「…太一?」

「ああ! 久しぶりだな。元気してたか?」

そう言って、太一は高校に入って街で偶然会った私の前に駆け寄ってきた。

「まぁ、うん。太一は?」

「俺は今一人暮らししてる」

「え? 祖父母は?」

「死んだんだ」

「そ、そうなんだ…」

知らなかった。

「青葉…お前…」

太一は私の腕を取り、長袖の制服の袖をぐいっと捲る。

やばい。

「なんだよこれ…」

そこには父親に手首を捕まれた際に出来た手形のアザと、殴られた時に出来たアザ。

そして私の腕を灰皿のように使い火傷を負って出来た跡があり、太一がそれを見て息を飲んだのがわかった。

私はバッと手を振り払う。

「大丈夫、何でもない」
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