超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第20話　嫌がらせを知った美男子は必死に怒りを抑える

アンセムはエイールと夕食を食べていた。
今日は品種改良の実験があり、終わってからそのまま２人で食堂に来たのである。
アンセムはとても目立つ。食堂に入ったとたんに、女の子の視線を感じてエイールは少し落ち着かない。
もちろん、見るだけではなく、話しかけてくる女の子もいる。

「一緒に食べてもいい？」

同じ学年のルミとティナだった。
そう頻繁にではないが、普通に会話する程度には親しい仲だ。

「ああ、構わないよ」

柔らかい笑顔を浮かべて応じるアンセム。

「久しぶりに間近で見たけど、相変わらずの王子様っぷりだよなぁ」

「なんだよ、それ」

エイールに感心され、アンセムは苦笑した。

「あ、アンセムの美味しそう～。私もＢセットにすればよかった」

「俺もＢセットなんですけど」

甘えたように言うティナに突っ込みを入れるエイール。

「あら、失礼」

ティナは軽く謝って、視線をすぐにアンセムに戻した。

「ところで、噂で聞いただけなんだけど…」

自分の食事に手をつけず、ぐぐっとアンセムの方に身を乗り出すティナ。

「テラスって女の子が、またアンセムに付きまとってるって本当？」

「え？」

ティナの言葉にアンセムの箸が止まる。

「なんだそりゃ」

アンセムとテラスが付き合っていることを知っているエイールは、顔を歪めた。
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