超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第23話 美男子は迷走して復縁を演じる

「どうしたの？魂抜けちゃったみたいな顔して」

共有スペースの休憩所でボケっとしていたら声をかけられ、アンセムは顔を向けた。

「ミュウ…」

「なぁに？その力のない声」

クスリと笑われる。
ミユウはアンセムがテラスを好きになる前に、一番恋人に近かった存在である。
愛称はミュウ。
年齢はアンセムと同じ。美しい黄金の柔らかなウェーブのかかったロングヘアの持ち主だ。絶世の美女と形容するに相応しい美貌と、魅力的なスタイル。声は聞いているだけで心地良く響く。
当時、アンセムの相手として誰もが認めていた。
アンセムがテラスを好きになり決別してから、お互い姿を見ても話しかけるようなことはほとんどなかったのだが…。
ミユウは飲み物をとると、アンセムの隣に座った。

「久しぶりね」

「ああ、元気だったか？…なんて質問も白々しいか」

「アンセムは元気じゃなさそうね」

「そんな風に見えるか？」

「ええ。噂がたってるみたいだけど、それが原因？」

「ミュウの耳にまで入っているのか？」

アンセムは驚いた。

「もうすっかり知れ渡ってるわよ」

アンセムは頭を抱えた。

「あの子は…テラスとはうまくいってるの？」

「どうかな…」

その問いに自信を持った答えを出せないアンセム。