超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第25話 あざと女は天才に謝られる

ナミルは自分の目を疑った。
お昼時。
日当たりの良い席。
眩しいくらい綺麗なミユウ。
そして、その向かいに座るアンセム。
２人は楽しそうに会話しながら食事をしていた。

友人からアンセムとミユウのヨリが戻ったらしいという話を聞いたときは、またどうでもいい噂が出たと思った。
２人がキスをしていたのを見た人もいるという。
ありえない、そう思った。
アンセムが抱くテラスへの気持ちの強さを知っているつもりだったから。
では、今目の前に広がる光景は一体どう解釈すればよいのだろう。
仲睦まじく食事をするアンセムとミユウは、絵画にして飾っておきたいくらい素敵な２人だった。

（私はこの２人を見てアンセムさんを諦めたのに…）

ミユウの美しさは、誰も文句が言えない時限である。
だから、アンセムの相手がミユウの時は、嫉妬こそあが異論を唱える者も、ましてやミユウに嫌がらせをしようとする者もいなかった。

ところが、テラスの場合は話が違う。
生物学の薬学まで専攻している点は特筆すべきかもしれないが、その他、特に見た目は「普通」としか表現しようがなく、また存在感も非常に薄く、性格も際立って良いということもなく、当然カリスマ性があるわけでもなく、誰が見てもアンセムとは不釣合いと判断を下したのである。
だからこそ、嫌がらせをするような者が現れるわけで、ナミルもテラスにならば勝てると思い、アンセムを深追いしたのだ。

テラスの魅力は、ナミルには未だに理解できない。
しかし、ごく一部の人種には、キラリと光るものを感じるらしい。
アンセムを始め、カイも、シンも、テラスを特別な存在として認めているのだから。