超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第33話 美男子は彼女の親友に糾弾される

アンセムはテラスの部屋まで走った。
途中、見過ごさないように食堂や談話室を確認することも忘れない。
テラスの部屋の前に着くと、周囲を見る余裕もなくノックした。
しかし反応はない。
何回かノックを繰り返すが無反応。

(不在なのか…)

今度はアイリの部屋へ向かった。
こちらは一度戸を叩くとすぐにアイリが出てきた。

「アンセム、どうしたの?」

アイリは息を切らせて切羽詰った表情をしているアンセムに少し驚く。

「テラス、来てるかな?」

「来てないわよ。自分の部屋にいなかったの?」

「ああ。だからこっちかと思って」

「そう。今日は午前中は授業あるって言っていたけど、午後は何も予定ないはずなのに、どこいっちゃったのかな…。1人で歩き周るなって言ってるのに」

「それはどういうことだ?」

「とりあえず中入って。アンセムに言いたいことあるし」

アンセムは言われるがまま部屋に入った。
アイリの「1人で歩き回るな」という発言が気にかかった。

「適当に座って。お茶も出ないけど」

「ああ」

アンセムがソファに座ると、アイリは早速話を切り出した。

「ねえ、どういうつもりなの?ミユウさんのこと。それから、2週間会わないって話」

いきなり詰め寄られて面食らうアンセム。
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