超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第34話 平凡女は彼氏の視線に困惑する

テラスはシンに部屋まで送ってもらってから、しばらく自室で過ごしていたが、どうにも気持ちが晴れず、再び外に出た。
アイリとタキノリからは1人で出歩くなと言われていたが、外で1人になりたい気分だった。
アンセムとミユウの復縁話のお陰だろうか。それとも、テラスを部屋に引きずり込んだメンバーが嫌がらせの中心で、テラスの反撃に腰が引けただけなのか。1人で歩いていても、実害的な嫌がらせはなかった。

テラスは中央施設まで再びブラブラと歩いた。
図書館の裏にある人気のない小さな庭にたどり着く。
今日はポカポカ陽気で、気持ちが良かった。
芝生に座り込んで緑を眺めると、少しだけ気持ちが和らいだ。

(本当はアンセムに連絡をとるべきなんだろうな…)

頭ではわかっていたが、この憂鬱な気分のまま、いつもの自分で話をする自信がなかった。
この後の立食会で、とりあえず最悪な出来事が一区切りつく。
そうしたら、気分を変えてアンセムに会いに行こうと思った。

芝生に転がっていたら、少しウトウトしてしまったようだ。
ふと気付くと、もうすぐ中央施設が閉まる時間になっていた。
ルイザに言われた5時半には、少し早い気もしたが、テラスは職員ブースへ向かうことにした。

一方、アンセムはテラスが見つけられず途方に暮れていた。
夜部屋に行けばいるだろうが、そんな時間まで待てない気分だった。
今日は立食会だ。
立食会は全員参加必須である。
時間に幅があり、滞在時間は本人に任されるが、最初から最後までいれば、必ずテラスが姿を見せるはずだ。
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