超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第45話 天才は柄にもなく気を遣う

次の日、シンは図書館への道を歩いていた。
そして、少し先にナミルの姿を見つける。
少し歩調を速めると、すぐに追いついた。

「よ」

「あ、シン。おはよう」

「時間厳守だな」

「当たり前よ。遅れたらどうせ文句いっぱい言うつもりだったでしょ?」

「そりゃそーだ。師匠待たせる弟子がどこにいるっつーの」

「弟子じゃなわよ…」

軽口を叩きながら2人は歩いた。
図書館へ着き、カイに挨拶してから隅の席を陣取る。

「じゃ、早速始めるぜ」

「よろしくお願いします」

「そうそう、礼儀は大事だぜ」

「シンがそれ言うの?」

その発言は無視された。

「とにかく、解らねーところ、1つ1つ解説していくぜ。
何となくで流すなよ。ガッツリ理解するまで先に進まねーからな」

「わかったわ」

そして2人は勉強に集中し始めた。
喧嘩のように言い争うこともありつつ、それでもナミルは理解する努力を惜しまず、シンもナミルが理解するまで諦めることなく教え続けた。
教える方も教えられる方もクタクタである。

「お願い。5分だけ頭休ませて」

ついにナミルが音を上げた。

「ちっ!軟弱な奴!」

と言いつつも、シンも休憩がほしかった。

「5分だけだぜ」

シンは立ち上がった。

「どこ行くの?」

「便所だよ」
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