超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第7話 平凡女は彼氏の気持ちが知りたい

「どうしたの?」

駆け寄ってきたテラスが聞く。
いつもより微妙に距離があるような気がするのは、気のせいだろか。

「テラスの顔が見たくて、寄ってみたんだ」

気持ちが尖り、少し険のある声が出てしまう。

(あれ?なんだか怒ってる?)

テラスはいつもと違うアンセムの様子に戸惑った。
何と返してよいのかわからず考えていると、肩を抱き寄せられた。

「え!ええ!?」

昨日の今日である。
反射的にテラスはアンセムの胸を押し返してしまった。
アンセムはムキになって、強引にテラスを抱き締める。

「なに?どうしたの?」

何とか逃れようとするテラスだが、さらにキツク抱き締められてしまった。

「苦しい…」

「テラスはオレに会いたいと思った?」

「はぁ!?」

昨日会ったばかりではないか。
一体アンセムは何を言いたいんだろうか。

「とにかく、苦しいから離してよ…」

「嫌だ」

「そんなぁ…」

まるで駄々っ子のアンセムに、テラスはお手上げだった。
アンセムは「私も会いたかった」という言葉がほしいだけなのに、テラスにはそれがわからない。
抵抗する方が疲れるので、テラスは無言でアンセムが離れてくれるのを待った。
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