超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第8話　平凡女は彼氏のために努力する

「なるほどね～」

テラスからアンセムが迎えに来た話を聞いて、アイリは深く頷いた。
アイリはテラスの親友で、薄茶色のストレートなロングヘアの持ち主だ。
今日は細身の濃いブルーのワンピースを着ていて、長身でスレンダーなアイリにとても似合っていた。
就業教育は服飾で、センスの良さには定評がある。
２人は食堂で夕食を食べていた。

「なんで怒ったんだと思う？」

テラスの質問に、アイリはため息をついた。

「だから、シン君に嫉妬したんでしょ。本人がそう言ってたんだから」

「そうだけど。どうしてシンに嫉妬するの？」

テラスは心底わからない。

「ほら、シンってちょっと特異な存在じゃない？
恋愛に構えるところとかテラスに似てるし、就業教育の専攻も同じだし、テラスに近しい存在なのが心配なんじゃないの？」

「ええ～…」

納得いかないテラス。
シンは完全なる恋愛対象外だ。
というより、テラスにとってアンセムのみが恋愛対象である。

「どうして心配？私がシンを好きになることなんてありえないのに」

「そりゃそうでしょうけど」

「意味わかんないなぁ」

「嫉妬って、そういうものよ。理屈じゃないの」

「そうなの？」

「テラスには当てはまらないかもしれないけどね」

「ふ～ん」

まだまだ納得いかない様子のテラスを見て、アイリはアンセムに同情する。
親友の私ですら、テラスの鈍さには呆れてしまうのだから。
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