超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第58話 平凡女は挑発されて逃げ出した

テラスはアイリと朝食を食べた後、部屋に戻り片付けや掃除をした。
一仕事終え、アンセムに電話をしてみたが不在。
今日は予定が入っているという話は聞いていなかったので、図書館へ行ってみることにした。

一応、昨日の出来事を忘れる努力をしている。
アンセムは気にしていないんだから、自分だけ意識しても妙な展開になるだけだ。
今朝シンに言われた内容は心にひっかかっていたが、とりあえずアンセムに会いに行こうと思った。

図書館に入ると、アンセムがいたのでテラスは嬉しくなった。
アンセムも入ってきた自分にすぐに気付いてくれ、笑顔を向けてくれた。
カイに挨拶をし、とことことアンセムの元へ行くテラス。

「やっぱりここだった」

「もしかしてオレを探してたのか?」

「ううん、電話していなかったから、ここかなと思って来てみただけだよ」

「そうか」

そう言って、アンセムは自分の隣の椅子をひいて、テラスを座るように促した。

「課題でしょ?邪魔じゃない?」

「全然。急ぎじゃないんだ」

「アンセムがここで広げるのって珍しいね」

テラスはアンセムが開けてくれた席にちょこんと座った。

「テラスが来たらすぐにわかるようにだよ」

愛しくテラスを見つめるアンセム。

「そうなんだ、ありがと」

えへへとテラスは笑った。
その後、テラスとアンセムは2人で昼食を食べてから、中央施設をぶらぶらし、テラスの部屋で寛いで、夕食も一緒に食べて別れた。
昨日の今日だが、気まずさはすっかりなくなった。
最初は少し意識してしまったテラスだが、アンセムのいつもと変わらぬ様子に安心し、普段の自分を取り戻したのだ。
アンセムもテラスが思っていた以上に早く自然に振舞ってくれたので安堵した。
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