超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第59話 平凡女がんばる

「おかしいな」

アンセムは食堂で１人夕食を食べながら首を捻っていた。
今日は１日授業だった。
せめて夕食はテラスと食べようと、部屋まで誘いに行ったのだが、「ちょっと忙しいから」と断られてしまった。

明らかにおかしい。

テラスは自分とあまり目を合わせず、部屋に入れてくれもせず、そそくさとドアを閉めたのだ。

何かまた自分はポカをやらかしただろうか？

ここ数日の行動を振り返ってみたが、思い当たる節がない。
自分とは関係のないことで、元気をなくしているのだろうか。
もしそうなら、今日１日はそっとしてあげた方が良いのだろうか。

考えながら１人で食べる食事は、あまり美味しくなかった。

「アンセムさん、こんばんは」

そこへナミルが声をかけてきた。

「やあ、こんばんは」

少し離れたところにシンが控えている。

「１人ですか？」

「そうだけど」

「テラスさんは？」

「今日は別だよ」

「どうしてですか？」

ナミルの質問の意図がわからないアンセム。

「もしかして、私が原因かも」

「どういうことかな？」

「実は…」

ナミルはアンセムの耳元まで顔を近づけ、小さな声で言った。

「私が以前アンセムさんとセックスしたこと、テラスさんに言っちゃったんです」

「なんだって！？」

あまりの事実にアンセムは驚愕した。

「どうして今更そんなことを…」

アンセムは片手で顔を覆った。