超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第63話 ついに…

一瞬躊躇したテラスが自分からキスをしてくれた。
アンセムはもう自分を制止する必要性を感じなかった。
ついに、そういうことなんだ。

体が熱くなる。
テラスを抱き締めた。
テラスの髪に顔を埋める。
抵抗はされなかった。
そのまま耳にキスをした。
ピクリ、とテラスが反応する。
でも、嫌がっているわけではないようだ。
次におでこに、瞼に、頬に優しくキスをして、最後に唇に深いキスを落とした。
夢中になって、キスをした。

(うわ…!)

テラスはアンセムのキスに翻弄されていた。
舌と舌が絡み合い、何ともいえない感覚に陥る。
自分の髪に差し込まれたアンセムの手に頭を固定されて、息つく間もない程だ。
やっと唇が離れ、テラスはハアハアと息を乱した。

「ベッドに行こう」

「ええ!?」

「嫌…だったか?」

「そういうわけじゃないけど」

「良かった」

アンセムはテラスを抱き上げようとした。

「ひえっ!」

思わず飛び退くテラス。

「自分で歩けるから大丈夫だよっ」

そのまま立ち上がってアンセムと距離をとった。
そんなテラスを見てアンセムは微笑する。

「な、なに?」

「いや、なんでも」

アンセムに手を引かれ、テラスはついにベッドまで来てしまった。
ベッドで棒立ちのテラス。
どうしたら良いのかさっぱりわからない。
動悸が激しくて、まったく冷静ではいられない。
そんなテラスに優しく短いキスをして、アンセムはベッドに招いた。
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