超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第12話 傷ついた天才は図書館をさまよう

シンはくさっていた。
ユキと関係が切れたのは嬉しいが、やはり言われた内容に対してダメージを受けていた。
そんな自分が情けなく、傷ついている自分を認めたくないため、余計にストレスが溜まるのだ。

ユキのことは欠片も好きではなかった。
しかし、自分がここまで邪険にしても諦めないところは、ガッツがあると思っていた。
それが、単なるゲーム感覚だったとは。
正直、女性不信になりそうだった。
やっぱり女はくだらない。関わりたくない。
イライラして、昨日の夜は良く眠れなかった。
何もする気が起きず、遅い朝食をとってから部屋で不貞寝していたが、気分転換に図書館へ行くことにした。

図書館に入り、一応カイに会釈をする。
テラスからの忠告が本当だとすると、悔しいけれど邪険にはできない。
シンは適当に本でも選んで部屋で読みふけろうと思い、図書館の奥へ進んだ。
キョロキョロと辺りを見渡しながらゆっくり歩く。
もしテラスがいたら、少し話を聞いてもらいたいと思っていた。
今、シンが本音で会話できるのはテラスだけなのだ。

しかし、テラスの姿は見当たらない。
あの色男とよろしくやってるんだろうか。
シンは孤独な気持ちになった。
フラフラと歩き、結局生物学のコーナーまで辿りつく。

「お?」

誰かがいる。
それはテラスではなくナミルだった。
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