超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

第19話 天才は平凡女の護衛になる

たまたまかもしれないというテラスの推測はあっさり外れた。
次の日も、また次の日も、嫌がらせの手紙が部屋に届いたのだ。
アイリとなるべく行動するようにしているが、足をひっかけられたり、ぶつかってこられたり、ヒソヒソと噂されたりと、典型的な嫌がらせが何度もあった。

アンセムの部屋に行くからいいと、あの時発言したが、結局主に図書館、あるいは中央施設のどこかで相変わらず会っている。
最初の嫌がらせから3日目。
アイリの授業が入り、テラスが1人で図書館までの道のりを歩いているときのこと。

「ちょっといい?」

同じ学年のフウカに声をかけられた。
フウカはまっすぐなストレートロングヘアの持ち主で、服の趣味は白やパステルなど、女の子らしい色とデザインを好み、一見清純派な外見だ。
同じ学年だが、顔と名前が一致する程度で、親しく話すような仲ではない。
嫌な予感がするテラス。

「なに?」

一旦立ち止まったテラスだが、歩きながら返事をした。

「聞きたいことがあるんだけど」

テラスを追いかけながら話し続けるフウカ。

「どうぞ?」

「ここじゃちょっと。場所変えたいんだけど」

「ごめん。今急いでるから」

別に急ぎの用などなかったが、わざわざ自分から厄介事に飛び込む気はサラサラない。テラスは歩く速度を速めた。
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