【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

19 暗殺一家

 結局、私たちは姉エレインと会ってから、すぐに離宮へと戻ることにした。

 ウィリアムにとっては公的な予定のない、本当に久しぶりな自由な外出時間だったのだけれど、私が二度ほど号泣してしまうという事態があったせいか、彼自身が疲れたから帰ろうと言い出して帰ることにしたのだ。

 ウィリアムが、言い出した……というより『言ってくれた』が、正しいのかもしれない。

 ウィリアムは知能指数が高くて、洞察力に長けている。それに、その人に気が付かせぬように優しさを発揮するのも、優秀な姉エレインに良く似ていた。

 ことさらに自分の行為をアピールすることなく、人を真に思うウィリアムの優しさも彼女譲りのようだ。

「まあ、姉上の件は、これで一安心だな……暗殺されるかもしれないと思って居れば、あの人なら並大抵の方法では暗殺されまい」

「そうですね……ご本人にこうして知らせることが出来るとは、私も思っておりませんでした」

 ソファに深く腰掛けていたウィリアムは私の淹れた紅茶を飲んで、ほっと安心したように頭に手を置いて天を仰いでいた。

 エレインがキャンディスとウィリアムを苦しめている黒幕だと、物語序盤では思われてしまっていたのは、取り巻きである悪役令嬢モニカを操ってウィリアムを虐めているように周囲から見えていたせいだ。

 主役二人を勘違いさせるに十分な理由が、そこには揃いすぎていた。

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