ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

駆け出す足

 朝食を食べて片付けていたら安積さんが声をかけてきた。

「四宮は休みはなにしてるの?」

「え……」

「いや、若い子ってどんな風に休み過ごすのかなって」

 問われて首を傾げつつ普段の休みの風景を思い浮かべるのだが。社会人になってから彼氏はいない私だ。もっぱら引きこもり体質で出かけるなんかほとんどない。部屋の中でひとり楽しめることばかりして過ごしている。

「掃除したり、布団干したり?」

「……出かけたりしないの?」

「買い物くらいは行きますよ?」

 そう答えたらポカンとされてしまった。

「面白みなくてすみません」

「いや、意外で」

「そんな華やかなことないですよ? 友達多いわけでもないしそれこそ彼氏なんていないし……」

 そこまで言ってハタとなり、安積さんを見つめてしまう。

 一晩、部屋は違えど一緒に過ごした。ナニとはないが一晩を過ごした……上司と部下、その関係を明らかにこえたものが今の私たちにはある。
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