ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

告げられる過去

 ――もう終わりにしよう。

 安積さんの口からこぼされた言葉に私は何も返すことが出来ない。

「来週には正式に辞令として公表される。新しい部長も配属される、当面は柳瀬もフォローにあたってくれるし心配しなくてもいいよ」

「そんな、そんな心配はしていませんっ!」

「……俺も引継ぎがあったりでバタバタする。四宮に時間を割いてやれない」

「……」

「だから……」

「いりません」

「四宮?」

(嫌だ、嫌だっ……)

「私に割く時間なんかいりません! 無理も言いません! 一緒に時間を過ごしたいなんて我儘はもう言いません! だから……」
 
 言わないでほしい。

 もう終わりだと、安積さんの口から言わないで。


「君を好きになることはない。どうやっても四宮を恋人の対象としては見られない」

 それは――一番聞きたくない言葉だった。
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