ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

私が望むこと

 街中が賑やかに彩り出してきた。

 クリスマスはいくつになっても胸を逸らせる特別なイベントな気がする。子供の時から変わらないワクワクする気持ち、キラキラ輝くオーナメントやツリーが可愛くて、流れるメロディが軽快で華やかで……でもどこか切なく胸に響く。

 街中を歩きながらショーケースに飾られるツリーを見つめてぼんやりと思っていた。
 
 クリスマスは世界中の人の幸せを願う日、大切な人と過ごす特別な日。

 私は別にキリスト教ではないけれど、クリスマスはやはり特別な日だ。


 (私が……安積さんにしてあげられることってなんなんだろう……)


 そばにいたい、期間限定のかりそめの恋人。

 その間に思い出をください。

 そしてキッパリと諦めます。
 
 そんな風に投げつけて始まった恋。

 でもそれは自分が思っているよりもずっと胸がときめく連続で、大人の人……そう思っていた安積さんだけれど一緒にいてそんな違和感はさほど感じることがなかった。
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