ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

新しい約束

 相手を思う気持ち、それが自分にも向いてお互いが好きと思い合えるなんか奇跡だ。

 ――四宮が好きだよ。

 そう告げた安積さんの唇にソッと指先を添える。

 震える指先が安積さんの赤い唇をなぞったらその手を掴まれてそのまま掌にキスされた。

「……っ」

 私の手が安積さんの唇から頬を包む。私の手に包まれるような安積さんが例えようのない色気を放つ。伏せられる瞳がゆっくり開いて私を見つめてきて言われた。

「三ヶ月……待てるか?」

「……え?」

 掌からソッと離れて言われた言葉をすぐに理解できなくて身を乗り出して問いかけてしまった。

「いま、なんて?」

「死ぬ気で仕事を終わらせる、それが終わったら迎えにくる。待っていてほしい。三ヶ月後に必ず迎えに来るから」

(え……)

「四宮の人生を俺にくれ」

「……」

「四宮のやりたいことを俺の我儘で奪うことになる。それを押し通していいのかと悩んだけれど、もうダメだ。俺が四宮と離れる選択肢がない」

「あ、安積さん……それは」

 それはつまり……どういうこと?
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