ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

ダーリンと呼ばせて

 三ヶ月……指折り数えるには長い。

 カレンダーだとページを二枚もめくらないといけない。三ヶ月あれば季節が変わる、冬が春に変わってしまう。それくらい時間が経つのか。それを思うと待ち焦がれるようだが仕方なかった。

 会えない時間が愛を育てる、遠ざかる程思いが募る、会わないでいる事が人の心はいっそう愛情深くなる……いつか知ったイギリスのことわざ。

 会えない時間は思いを育てる、その思いを抱えながら私は会えない日々でも安積さんを想って毎日を生きる。

 それは安積さんも同じだと思っているから。

「三カ月後に本当に帰って来るのかな? 口だけでそのまま戻ってこないかもしれないよ?」

 そんな意地悪なことを言う柳瀬部長を、むぅっとした表情で睨んだらクスリと笑う。

「あいつ逃げ癖あるからさ」

「安積さんはもう逃げたりしません」

「なぜわかる?」

「私が信じて待っているからです」

 そう返したら目を見開いて笑われた。
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