ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~

宣戦布告

 突拍子のない言葉だったのだろう。安積さんは私がこんな言葉を投げてくるとは想像していなかったのか。

(普通しないか……でもこれが私が考えて一番有効でチャンスがあることだと思ったから)

 限られた三ヶ月、その期間に恋人みたいに近しく過ごして少しでも……いや、確実に!

 安積さんに好きになってもらう!

 相変わらず固まったままの安積さん。何か言ってほしいところだが状況が状況だから仕方ない。結局私から言葉を続ける。

「我儘だとわかっています。でも諦められないんです。断られる理由が年齢と言われても……納得できません」

「それはっ……」

 年齢を都合よく言い訳にしたのは事実なのか、そこを突かれると痛そうで安積さんの表情が気まずそうに歪んだ。それを私は見逃さずさらに突き詰めるようにそこを攻めた。

「より納得できると思いませんか? 試しに付き合ってみたらやっぱり歳の差、ジェネレーションギャップ……無理だなって私こそ思って納得できるかもしれません」

 そう言う私に安積さんの目の色が揺れて迷いが見える。ジッと至近距離で安積さんの黒い瞳を見つめる機会など早々ない。

 だからより見つめるとわかるのだ。

(安積さんって、すごく目で気持ちが分かる人……)
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