ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
第二章

大人の恋ってなんですか?

 ちゃぽん……と、湯船のお湯が揺れて弾いた。

「ふぅ……」

 少し熱めのお湯に浸かるのが好き。お風呂の時間は好きだけど、長湯できるタイプじゃなかった。ぬるめのお湯で半身浴、とか全然出来ない。熱めのお湯でしっかり肩まで浸かって温まったらあがるスタイル。ぶくぶくと鼻の下までお湯に浸かりながら思い返していた。

 今日の日のことを。

(安積さんの恋人になれた……)

 かりそめだけど、期間限定だけど! それでも振られたあとから大逆転感はある!

 あのあと火照る頬を包み隠してデスクまで戻ってなんとか気持ちを落ち着かせていた。ドキドキと高鳴り続ける胸の音がうるさいくらいで、それは時間が経つほど落ち着いた……もんでもない。

 ドキドキバクバクと胸の鼓動は私の体の中で跳ね続けて苦しいほどで。この胸の音を周りに聞かれるのではないかと慌てるほどだった。

 それでも業務をしていたら嫌でも落ち着いてきてホッとしていたら数時間後デスクトップにメールが届いた通知が入り、何も思わずクリックしてまた胸が跳ね上がる。

(あ、あ、安積さんの連絡先?!)

 完全に油断していた私は届いたメールに飛び跳ねかける。ここは職場だ、オフィス内だ。しかもこの関係は周知させてはいけない秘密の関係、バレては元も子もないのに!

(あ、あ、あ、安積さんの個人情報っ!)

 どうしたって飛び跳ねそうなくらい舞い上がってしまった。
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