地の果てに咲く花

プロローグ



花畑の中を幼い少女が走り抜ける。

「ねえ!お兄ちゃん!」

少女は最愛の兄の方を見て笑いかけた。

そんな妹を見て少年は笑う。

「転けても知らないからなー」

「痛てっ」

「ほら言ったそばから……」

少年は転んだ妹を起こすと呆れまじれに笑い、少女の無事を確認する。

「危ないからダメだって……」

「でもお兄ちゃんが守ってくれるでしょ?」

少女は穢れを知らぬ純粋な瞳で兄を見つめた。

少年は軽く目を伏せると優しく笑う。

「ああ」

それから暫くして、少年と少女は引き離された。

それでも少女は罪深いほどに笑っていた──。



地の果てに咲く花start
< 1 / 162 >

この作品をシェア

pagetop