地の果てに咲く花

落合 聖杜ーotiai kiyotoー


「聖杜ー?聖杜ー?いないのー?」

「……チッ」

朝。

俺の1日は、胸糞悪い女の声から始まる。

「あっ、ここにいたのね!」

一人の女が、何の許可もなしに俺の部屋に入ってくる。

「今日、あたしも隆も帰ってこないから。秋真のことよろしくね」

そう言って女は鍵を渡してきた。

またかよ……。

でも俺にとってはそっちの方がずっといい。

この母親気取りしてる女は俺の母親ではない。

父親の不倫相手で6年前、母さんから父親を奪った女だ。

そして秋真というのは今の母親と父親の間に生まれた6歳の弟。

でも、俺の兄弟は、ただ一人だけ。

『お兄ちゃん』

最愛の妹は今、何をしてるのか。
< 11 / 162 >

この作品をシェア

pagetop