地の果てに咲く花

〈希空said〉


「会いたかった……っ、会いたかったよお兄ちゃん……っ!」


「おかえり……っ、おかえり、桜駒」

泣きながら抱き合う双子。

その姿を見て視界が滲み、鼻の奥がツンと痛んだ。

よかった……桜駒が生きてくれてて。

本当はね、すごく怖かったんだ。

いつも笑ってたけど、笑えば笑うほど桜駒のことを思い出して。

桜駒がいなくなってしまうんじゃないかって。

「桜駒。俺はお前のこと──愛してるよ」

抱きしめながらそう言う聖杜。

正直寒いしキモって思ったけど……桜駒は瞳を滲ませて嬉しそうに笑った。

聖杜はここ数年で変わったんだよ。

よく表情を出すようになったし、人の“気持ち”っていうのを知ろうと努力して。

「希空……」

桜駒が私の方を見て、タタタッと駆け寄り、抱きついてきた。
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