地の果てに咲く花

少女は罪なほどに笑う〈聖杜said〉


「桜駒……っ‼︎」

玄関を開けた瞬間、母さんが桜駒に駆け寄り、桜駒を抱きしめた。

「……ママ」

桜駒は少し驚いた顔をした後、母さんの背中に手を回す。

「……ただいま、ママ」

桜駒は微かに笑みを浮かべた。

母さんは桜駒を抱きしめ、そのまま泣き崩れる。

「ごめん、ごめんねえ……っ!」

その“ごめん”は何に対してか分からなかったけど。

桜駒はぎゅっと唇を噛んで涙を堪え、母さんの胸元に顔を沈めた。

「桜駒。おかえり」

お父さんは優しく笑うと、母さんごと桜駒を抱きしめた。

よかった……ようやく。

ようやく桜駒は、親の愛を手に入れられた。

「雷稀」

お父さんが離れたとこにいた雷稀兄を呼び寄せた。
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