地の果てに咲く花

〈紫悠said〉


「しゆーーーー!」

日曜日。久しぶりに育った街に行くと、ぎゅっと何かが飛びついてきた。

……あ、桜駒か。

四年ぶりの再会なのに、なぜかあんま感動しない。

あと、俺は“しゆう”で“しゆ”じゃねえよ。

「久しぶり……。大きく……なってないな」

桜駒のセミロングを撫でて頭に手を置くけど、いまいち身長が変わってない。

「は?伸びたし」

桜駒が俺を射殺せんばかりに、睨みつけてくる。

いや、目が本気すぎて怖。

「……そっかー。そうだねー」

伸びたことにしとこ。

実際あんま伸びてないけどね、うん。

「そいや紫悠、一人暮らし始めたの?」

「あーうん」

中学を卒業した機に隣県の高校の寮に入ることにした。
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