地の果てに咲く花
〈紫悠said〉ーsiyuuー
「はいはい。桜駒だけ、だろ」
俺がそう言うと、図星だと言うように言葉を詰まらせた聖杜。
ホント……世話が焼けるやつなんだよなあ。
聖杜がどれぐらい桜駒を大切にしていたか俺は知っていた。
だけど、6年前。
引き離されるあいつらを見てることしかできなかった。
だから、聖杜のそばにいるのは俺のエゴなんだよ。
罪悪感から逃れたい俺のエゴ。
それで聖杜を利用している。
そんなこと、桜駒が知ったらすっげー怒るだろうな。
「何でお兄ちゃんのこと利用してるのー!」ってさ。
ホント、お互いが好きすぎるって言うか。
でもこいつら双子は、普通の兄妹じゃなかったんだよな。
「……聖杜。お前、桜駒に会いたいか?」
二人は、小学校は同じだった。
だけど二人が兄妹って知ってるのは俺くらいだろう。
だって聖杜と桜駒は似てないから。
書類上、兄妹ではなくなったあいつらは、学校で目も合わせようとしなかった。
お互いを嫌ったんじゃない。