地の果てに咲く花

〈紫悠said〉ーsiyuuー


「はいはい。桜駒だけ、だろ」

俺がそう言うと、図星だと言うように言葉を詰まらせた聖杜。

ホント……世話が焼けるやつなんだよなあ。

聖杜がどれぐらい桜駒を大切にしていたか俺は知っていた。

だけど、6年前。

引き離されるあいつらを見てることしかできなかった。

だから、聖杜のそばにいるのは俺のエゴなんだよ。

罪悪感から逃れたい俺のエゴ。

それで聖杜を利用している。

そんなこと、桜駒が知ったらすっげー怒るだろうな。

「何でお兄ちゃんのこと利用してるのー!」ってさ。

ホント、お互いが好きすぎるって言うか。

でもこいつら双子は、普通の兄妹じゃなかったんだよな。

「……聖杜。お前、桜駒に会いたいか?」

二人は、小学校は同じだった。

だけど二人が兄妹って知ってるのは俺くらいだろう。

だって聖杜と桜駒は似てないから。

書類上、兄妹ではなくなったあいつらは、学校で目も合わせようとしなかった。

お互いを嫌ったんじゃない。
< 17 / 162 >

この作品をシェア

pagetop