地の果てに咲く花
〈桜駒said〉
「ママ〜ただいまー」
「お帰りなさいー!」
玄関で靴を脱いで、リビングに繋がるドアを開ける。
「あ、パパ。お帰り〜」
普段忙しくってあまり会わないパパが珍しくソファーにゆったりと座っていた。
ホント、珍しいな……。
「桜駒。ただいま、そしてお帰り」
パパは優しい笑顔で言った。
その笑顔を見て私は笑う。
なのに。
どうしてなんだろう。心が暗くなっていくのは。
パパが愛してくれるたび、ママが愛してくれるたび、私の心は暗くなる。
可笑しいな。笑わなきゃいけないのに。
笑わなきゃ……。
「……桜駒。疲れてるんじゃないの?もう部屋戻ったら?」
「っ、え?」
珈琲を飲みながら怠そうな目で言ったのは3個上の兄だ。
「……雷稀兄」