地の果てに咲く花

〈桜駒said〉


「ママ〜ただいまー」

「お帰りなさいー!」

玄関で靴を脱いで、リビングに繋がるドアを開ける。

「あ、パパ。お帰り〜」

普段忙しくってあまり会わないパパが珍しくソファーにゆったりと座っていた。

ホント、珍しいな……。

「桜駒。ただいま、そしてお帰り」

パパは優しい笑顔で言った。

その笑顔を見て私は笑う。

なのに。

どうしてなんだろう。心が暗くなっていくのは。

パパが愛してくれるたび、ママが愛してくれるたび、私の心は暗くなる。

可笑しいな。笑わなきゃいけないのに。

笑わなきゃ……。

「……桜駒。疲れてるんじゃないの?もう部屋戻ったら?」

「っ、え?」

珈琲を飲みながら怠そうな目で言ったのは3個上の兄だ。

「……雷稀兄」
< 20 / 162 >

この作品をシェア

pagetop