地の果てに咲く花
〈聖杜said〉
『お兄ちゃん……お父さんはさこまのこと、嫌いなの?』
幼い頃、最愛の妹が幾度なく聞いてきたこと。
俺は、その質問に答えてやることができなかった。
愛する妹は、俺と違って幼くて。純粋で。穢れを知らなくて。
何て言ってやれば良いのか、俺には分からなかった。
でも、たった一つだけ。
たった一つだけ、言い聞かせていた。
『……俺たちは、望まれないで生まれたんだよ』
この世に否定されていることだけは、教えといてあげないと。
知らないでいたら、苦しむのは妹だから。
でも、これがいけなかったんだ。
ただ普通に、愛してあげていれば良かったのに。
だけど、自分も愛されてないから、どう愛せば良いのか分からなくて。
桜駒を可愛がることしかできなかった。
ちゃんと愛していて、あの時離れなければ。
違う未来もあったのかもしれない──。