地の果てに咲く花

〈聖杜said〉


『お兄ちゃん……お父さんはさこまのこと、嫌いなの?』

幼い頃、最愛の妹が幾度なく聞いてきたこと。

俺は、その質問に答えてやることができなかった。

愛する妹は、俺と違って幼くて。純粋で。穢れを知らなくて。

何て言ってやれば良いのか、俺には分からなかった。

でも、たった一つだけ。

たった一つだけ、言い聞かせていた。


『……俺たちは、望まれないで生まれたんだよ』

この世に否定されていることだけは、教えといてあげないと。

知らないでいたら、苦しむのは妹だから。

でも、これがいけなかったんだ。

ただ普通に、愛してあげていれば良かったのに。

だけど、自分も愛されてないから、どう愛せば良いのか分からなくて。

桜駒を可愛がることしかできなかった。

ちゃんと愛していて、あの時離れなければ。

違う未来もあったのかもしれない──。
< 41 / 162 >

この作品をシェア

pagetop