地の果てに咲く花

〈桜駒said〉



『……桜駒、これだけは分かっていて』

“望まれないで生まれたということは──”。

あの時、お兄ちゃんが何を言っているのか分からなかった。

私はお兄ちゃんと違って、頭が良くなかったから。

でも今ならわかる。

生まれなかった方が良かったことを。

……ううん。本当はあの時もわかってたんだ。

分かってたから、愛されてないんだって。

もっと子供っぽかったら愛されてた?いや、そんなこと関係なかった。

愛されないことがちゃんと理解できてたから、お兄ちゃんを利用した。

可愛がってくれるのはお兄ちゃんだけだったから。

お兄ちゃんを愛せば、私は生きていけるんじゃないかって。

でも、本当にするのは、そんなことではなかったんだろう。

ちゃんと“お兄ちゃん自身”に向き合うべきだった。

お兄ちゃんが私を置いていったんじゃない。
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