地の果てに咲く花

離れる双子〈桜駒said〉


「桜駒ちゃん!どうしてこんなに遅いの」

あのあとお兄ちゃんたちと別れて家に着いたのは、夜7時。

玄関を開けると、ママが心配そうに駆け寄ってきた。

お兄ちゃんに会ったあとだと、その微笑みが憎くてたまらない。

お兄ちゃんと私を切り離したのに、笑っているなんて。

「………ちゃんに会ったの」

「え?」

ママはどう思うんだろうね。

自分の娘が、“別れた男の息子”と会ってたって言ったら。

「お兄ちゃんに会ったの」

「お兄ちゃんって………」

ママは笑いながら私を見る。

でも笑えてない。

動揺して目が泳いでるし、唇も震えている。

「魁眞と雷稀のこと?いつも会ってるじゃない」

なんでそんなこと言うの。
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