極上の甘やかされ同居生活は溺愛のはじまり~大失恋したら女嫌いだったはずの凄腕心臓外科医がなぜかグイグイ迫ってくるのですが、これはいったい何事ですか?~
本当の幸せはお金では買えない
【本当の幸せはお金では買えない】


「お疲れ」
 仕事が終わり更衣室で着替えていたら、今から出勤の智也に声を掛けられた。
「そんなにそそくさと着替えて、冬哉は分かりやすいな。家で彼女が待っているんだろ?」
 智也には陽葵と付き合ったことを伝えてあるので、よくこうやって揶揄ってくる。
「まぁな。智也もそろそろ落ち着いたらどうだ? 家で好きな女が待っていてくれる生活って最高だぞ」
 そういう俺も、陽葵と一緒に暮らすまではそんな感情とは無縁だったんだよな。
 今では、陽葵がいない生活が考えられない。
 それほど彼女に惚れ込んでいる。
「はいはい。惚気ごちそうさま。まぁ、幸せそうに鼻の下を伸ばした冬哉を見ていると、そういうのもいいのかもなって思い始めたりするけど。結婚式、呼んでくれよ。涙もんの友人代表スピーチしてやるから」
 クッと口角を上げて、智也が笑う。
 結婚式か。
 陽葵との将来は、もちろん考えている。
 彼女のウエディングドレス姿は、すごく綺麗だろう。
 「おい、その腑抜けた顔、やめろ」
 どうやら心の内が思いきり表情に出てしまっていたらしい。
 智也がクスクスと笑いながら、俺を見つめてくる。
「近いうちに友人代表スピーチを頼むから、よろしく頼む」
「ああ。任せとけ」
 智也が俺の肩をポンッと叩きながら、今度は盛大に笑った。
 

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