極上の甘やかされ同居生活は溺愛のはじまり~大失恋したら女嫌いだったはずの凄腕心臓外科医がなぜかグイグイ迫ってくるのですが、これはいったい何事ですか?~
色褪せることなく、ずっと、ずっと永遠に
【色褪せることなく、ずっと、ずっと永遠に】

 クリスマスが直に迫った十二月中旬。
 街中は色鮮やかなイルミネーションに包まれ、陽気なクリスマスソングがあちらこちらで流れているのをよく耳にする。
 パティシエールとして働く陽葵にとって、一年の中で今が最も忙しい時期だ。
 俺も緊急オペに入ることが続いていたりで、ここ最近はすれ違い生活が続いている。
「今日も帰りが遅くなってしまったな」
 スマホの時計は、二十二時を回っていた。
 きっと、陽葵はすでに夢の中だろう。
 最近の俺の密かな楽しみは、帰宅後、ベッドの中ですやすやと眠る陽葵の寝顔を見ること。
 かわいいその姿を見ているだけで、仕事の疲れも一気に吹っ飛ぶのだ。
 彼女の仕事が落ち着いたら、サプライズで温泉旅行でも連れて行ってあげようか。
 そうだ、(くさ)()温泉辺りはどうだろう。
 ()(ばたけ)の光景は幻想的だし、あれこれ食べ歩きもできるから喜んでくれるのではなかろうか。
 頭の中で旅行計画を練りながら帰宅すると、珍しくリビングの明かりがついていた。
「ただいま」
 リビングに行くと、陽葵がソファーで横になって寝ていた。
 今朝と同じ服装なので、おそらく仕事から帰ってきてそのままここで眠りについたようだ。
 こんなふうに着替えもせずに寝ているのは珍しい。
 相当、体が疲れているのかもしれない。
 もうしばらくこのままここで寝かせてやろう。

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