極上の甘やかされ同居生活は溺愛のはじまり~大失恋したら女嫌いだったはずの凄腕心臓外科医がなぜかグイグイ迫ってくるのですが、これはいったい何事ですか?~
思いがけないサプライズ
【思いがけないサプライズ】

 台風が過ぎ去って一週間弱が過ぎた。
 ずっと荒れていた天気が嘘だったかのように、空には澄み切った青空が広がっている。
 結局、私のアパートは近くの河川の氾濫によって、床上浸水という被害を被った。
 水が引いてからアパートを訪れたが、冷蔵庫や洗濯機などの家電は水に浸かり、すべて使い物にならなくなっていた。
 かろうじてクローゼットにかけていた洋服や棚に置いてあったメイク道具、漫画やアニメグッズなどは無事だったので、それらをアパートから持ち出した。
 周辺の建物も冠水し、すべて同じような状況。アパートの修復工事にはかなり時間がかかるみたいだ。高台にある職場は無事で、今までどおり仕事を続けられるのがせめてもの救いだ。
 アパートの修復を待つか、新しい物件を探すか。
 決めるまでは実家に戻ろうと思ったのだが、冬哉くんに説得され、どうするか決めるまで彼の家でお世話になることになった。不自由がないようにと個室もあてがってくれて、冬哉くんには本当に感謝してもしきれない。
 両親にはさすがに冬哉くんのところにお世話になるとは言えなくて、友人の家にしばらく一緒に住ませてもらうことになったと伝えている。
 まぁ、嘘は言っていないので、セーフだろう。
 ここでお世話になる間、家賃や光熱費など、自分でも出すつもりでいたのだけれども、頑として冬哉くんは受け取ってはくれない。それでは申し訳なさすぎるので、洗濯や食事の準備など、家事はできるだけやるようにしている。

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