石楠花みどりはあえて男を作らない~スパダリ編集者は愛しの作家に身を捧げすぎる~
第七章 必ずお守りします


二カ月という合宿期間が終わりを迎え、私と誓野さんは作家と担当編集に戻り、あらかた仕上がった原稿を持って東京に戻ってきた。

これから私は原稿を推敲し、そのあと誓野さんや歴史小説専門のライターさんが内容の確認をして校閲、校正が入りさらに確認、確認、確認。

問題なく校了できたら、データを印刷所に回して出版の準備に取りかかる。

並行して営業部やマーケティング部が宣伝を開始。同時に映画製作会社にゴーがかかり映像化やグッズ化の準備が始まる。

映画化については、監督や脚本家、スタッフの方々と幾度か打ち合わせをして説明を受けたあと、以降はすべてプロの皆様にお任せする。私の出番といえば完成披露試写会にちょろっと顔を覗かせるくらいだ。

ちなみに映画が売れても私の懐には一銭も入ってこない。そういう契約だ。

だが映画が売れて本が話題になれば読者が増えて、ありがたい相乗効果になる。

慌ただしく年が明けたあと。編集部から私宛に一通のメールが届いた。

【第三十五回・北桜出版小説大賞受賞式のお知らせ】

多くの作家を招いてホテルでパーティーをする恒例行事である。

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