『イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした』
あなたが来てくれるから
インターホンが鳴ったとき、美香奈は息をのんだ。

チェーン越しにモニターを見ると、そこには制服姿の神谷が立っていた。
画面越しでも、その表情の硬さが伝わってくる。

すぐにチェーンを外し、ドアを開ける。

「神谷さん……」

「お待たせしました。状況を見せていただけますか?」

言葉はいつも通り丁寧で、無駄がなかった。
けれど、その目は確かに、美香奈の顔を真っ直ぐに見ていた。

「どうぞ……こちらです。マットの位置が、朝と違っていたように思えて」

「……わかりました。念のため、周囲も確認します」

神谷は靴を脱がず、手袋をつけたまま玄関まわりを丁寧に調べる。
その姿は、冷静でありながら――どこか、慎重すぎるほどの優しさを感じさせた。

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