両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
14 子供らしくあること【唯冬】
―――俺は昔、体の弱い子供だった。
少し疲れただけで熱を出し、ふらふらと寝込んでしまう。
それが小さい頃の一番のコンプレックスとなっていた。
同じ年頃の子供達が外で遊ぶような時期に俺は心配性の母親に時間を決められて、短い時間しか遊べない。
そのかわり運動以外の習い事を山ほどさせられ、家の中でほとんど過ごすような生活だった。
牢屋の中にいるような生活で唯一楽しかったのは人よりも少しだけうまかったピアノだ。
「あら、いやだ。唯冬。顔が赤いわ。また熱が出たんじゃない?」
そんなことはわかってる。
体が元気な時の方が少ないくらいだ。
正直、うるさいなと思いながら付き添ってきた母親を見た。
ピアノのジュニアコンクールに出たいと言ったのは俺だ。
自分の体の弱さを補うべく、運動以外のものでなにかできることを証明したかった。
俺の体じゃ殴り合いやスポーツは圧倒的に不利。
それなら、他のもので勝負するしかなかったからだ。
「付き添いをありがとう、母さん。少しの熱くらい平気だから」
母親が安心できるように微笑んで見せた。
少し疲れただけで熱を出し、ふらふらと寝込んでしまう。
それが小さい頃の一番のコンプレックスとなっていた。
同じ年頃の子供達が外で遊ぶような時期に俺は心配性の母親に時間を決められて、短い時間しか遊べない。
そのかわり運動以外の習い事を山ほどさせられ、家の中でほとんど過ごすような生活だった。
牢屋の中にいるような生活で唯一楽しかったのは人よりも少しだけうまかったピアノだ。
「あら、いやだ。唯冬。顔が赤いわ。また熱が出たんじゃない?」
そんなことはわかってる。
体が元気な時の方が少ないくらいだ。
正直、うるさいなと思いながら付き添ってきた母親を見た。
ピアノのジュニアコンクールに出たいと言ったのは俺だ。
自分の体の弱さを補うべく、運動以外のものでなにかできることを証明したかった。
俺の体じゃ殴り合いやスポーツは圧倒的に不利。
それなら、他のもので勝負するしかなかったからだ。
「付き添いをありがとう、母さん。少しの熱くらい平気だから」
母親が安心できるように微笑んで見せた。