両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
23 妹の宣戦布告
コンサートが終わっても三人は雑誌のインタビューがあるらしく、まだ楽屋に戻れないようだった。
『宰田め、働かせすぎだ』と文句を言っていたけど、宰田さんいわくコンサートが終わった後のほうが三人のテンションが高い。
普段より話してくれるから、わざといれたと言っていた。
「千愛。楽屋で待っていて。終わったらすぐに行く」
「わかったわ。急がなくていいから、インタビュー頑張ってね」
「頑張ったら、また千愛のこと話すかもな」
「焼きもちやきはやめてね!」
唯冬は否定せず、笑っていた。
すぐにからかうんだから。
言われた通りに楽屋に向かうと通路で警備員の人と言い争いをしている声がきこえた。
誰だろうとのぞいてみると、警備員の体に遮られよく 見えなかったけど、女性のようだった。
「通しなさいよ!」
「ここからは関係者以外、立ち入りを禁止されています!」
警備員のガードにも負けず、ぐいぐいと強引に入ってくるその姿に呆れてしまった。