両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】

28 妹の妨害


カフェ『音の葉』でピアノを弾くために午後の焼けるような日差しの中、歩いてきた。
店の前でぱちりと日傘を閉じた。
『かき氷はじめました』
外のメニューボードにそんな一文が書かれている。
かき氷の種類は多くて、果肉の入った手作りのフルーツシロップがガラスの瓶に入ってカウンターに並べられているのは去年も見た姿だ。
シロップに加え、お好みで練乳やアイスを追加できる人気メニュー。
カフェの店内に入ると#小百里__さゆり__#さんが出迎えてくれた。

「ようこそー!婚約おめでとう!」

「弾かせていただいて、ありがとうございます」

「いいの、いいのっ!こっちもピアノが飾り物にならなくて、助かってるわ」

< 191 / 227 >

この作品をシェア

pagetop