両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
【番外編】 あなたのために
大学生活にもなれた夏休み前の一日。
隈井先生のお宅へ訪ねていた。
すでに真夏の様相を見せる日差しはじりじりとコンクリートを焼いていた。
けれど、隈井先生が住む家はレンガ作りのイギリス風の建物で庭が広くて土の香りがする。
イングリッシュガーデンが広がり、丸みを帯びたアガパンサスの白い花が夏の風に揺れていた。
自宅はすべて奥様の趣味だそうで、隈井先生が自由にできるのは自分の書斎だけと以前に言っていた。
その奥様はとても素敵な方で、私がくる日は必ず美味しい焼き菓子を用意してくれていた。
「いらっしゃい。千愛さん」
奥様は紅茶と手作りのクッキーを置いてくれた。
「わぁ、可愛いクッキーですね」
ピンクや黄色、青色の花がクッキーの一枚一枚に飾られ、焼き上げられている。
食べるのがもったいないくらい可愛い。
「すごいですね」
「とても簡単なのよ」
「花を食べるなんて不思議な気分だがね」
隈井先生は渋い顔をしていた。
「あら。ちゃんと食べられる花なのよ。エディブルフラワーと言うの」
「すごく可愛いです」
隈井先生のお宅へ訪ねていた。
すでに真夏の様相を見せる日差しはじりじりとコンクリートを焼いていた。
けれど、隈井先生が住む家はレンガ作りのイギリス風の建物で庭が広くて土の香りがする。
イングリッシュガーデンが広がり、丸みを帯びたアガパンサスの白い花が夏の風に揺れていた。
自宅はすべて奥様の趣味だそうで、隈井先生が自由にできるのは自分の書斎だけと以前に言っていた。
その奥様はとても素敵な方で、私がくる日は必ず美味しい焼き菓子を用意してくれていた。
「いらっしゃい。千愛さん」
奥様は紅茶と手作りのクッキーを置いてくれた。
「わぁ、可愛いクッキーですね」
ピンクや黄色、青色の花がクッキーの一枚一枚に飾られ、焼き上げられている。
食べるのがもったいないくらい可愛い。
「すごいですね」
「とても簡単なのよ」
「花を食べるなんて不思議な気分だがね」
隈井先生は渋い顔をしていた。
「あら。ちゃんと食べられる花なのよ。エディブルフラワーと言うの」
「すごく可愛いです」