両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
6 変わる天気
食料を買うために外に出たはずが、カフェ『音の葉』の前に私は立っていた。
来るつもりなかった―――それなのに。
なぜ私はここにいるんだろう。
渋木唯冬と会う前は迷うことなく、店内に入ることができたのに今は入るのが怖い。
「買い物にきたんだから……」
中に入らず、立ち去ろうとした瞬間、カフェのドアが内側から開いた。
「いらっしゃい。開いてるわよ」
いつもの女性の店長が優しい笑顔で出迎えてくれた。
店長は春の日差しようにほんわかした雰囲気の綺麗な女性でその笑顔は人をホッとさせる。
店長のファンで店に通っている人も多い。
「もしかして!ピアノ弾きにきたのかしら?」
嬉しそうな顔でパンッと手を叩いた。
「いえ……違います。レモンアイスティーをお願いします」
「そう、お茶ね、お茶よね!」
慌てて店長はカウンターへ走っていった。
透明な瓶にはレモンのはちみつ漬けが入っていてカウンターの棚にずらりと並んでいる。
店長は気まずそうな顔をしていた。
『よけいなことを言ってしまった』と顔に書いてある。
もしかして私の事情を知っている―――?
話を聞いているのかもしれない。
もしかして、あの人の恋人?
あり得る。
優しそうだし、どこか似ている。
恋人がいるのにあんな思わせぶりな態度したの?
そう思いながら、ソファー席に座った。
昼をだいぶ過ぎた中途半端な時間のせいかお客さんは少ない。
来るつもりなかった―――それなのに。
なぜ私はここにいるんだろう。
渋木唯冬と会う前は迷うことなく、店内に入ることができたのに今は入るのが怖い。
「買い物にきたんだから……」
中に入らず、立ち去ろうとした瞬間、カフェのドアが内側から開いた。
「いらっしゃい。開いてるわよ」
いつもの女性の店長が優しい笑顔で出迎えてくれた。
店長は春の日差しようにほんわかした雰囲気の綺麗な女性でその笑顔は人をホッとさせる。
店長のファンで店に通っている人も多い。
「もしかして!ピアノ弾きにきたのかしら?」
嬉しそうな顔でパンッと手を叩いた。
「いえ……違います。レモンアイスティーをお願いします」
「そう、お茶ね、お茶よね!」
慌てて店長はカウンターへ走っていった。
透明な瓶にはレモンのはちみつ漬けが入っていてカウンターの棚にずらりと並んでいる。
店長は気まずそうな顔をしていた。
『よけいなことを言ってしまった』と顔に書いてある。
もしかして私の事情を知っている―――?
話を聞いているのかもしれない。
もしかして、あの人の恋人?
あり得る。
優しそうだし、どこか似ている。
恋人がいるのにあんな思わせぶりな態度したの?
そう思いながら、ソファー席に座った。
昼をだいぶ過ぎた中途半端な時間のせいかお客さんは少ない。