失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
誰よりも会いたくなかった初恋の相手
「結婚したい相手?」
二次会と称してやって来た都内のバーカウンターで中学からの親友と並んで座り、思い出話や近況を語り合ったところで切り出すと、光希は目を丸くして聞き返してきた。
「うん。どうやったら結婚したいって思ってもらえるかな?」
我ながら柄にもなく変な質問をしていると思う。光希はジンフィズの入ったグラスを持つ手にぎゅっと力を入れ、うかがうように私を見てきた。
「どうしたの、未可子? え、その相手って前に別れた彼とは別の人? 新しい彼氏?」
「彼氏じゃないけど……」
早口でまくし立てる光希から自身のグラスに視線を落とす。口をつけたカンパリオレンジは思ったより苦かった。
「彼氏じゃないなら、誰か好きな人でもできたの? 付き合うを通り越して結婚なんて……?」
光希の質問はもっともだ。そして、私はそれにイエスとは答えられない。
やっぱり中途半端に相談するべきではなかった。後悔しつつごまかすようにグラスの縁に口をつけ、光希に話そうとした言葉と一緒にカンパリオレンジを飲み込む。
「変なこと言ってごめんね。彼と別れてから、いちいち付き合うのって面倒だなって思ったの。子どもも欲しいし、この際すっ飛ばして結婚もありだなって。二十代も後半になったし」
もちろん本心ではない。正直まだ二十六歳 は若いという感覚でいる 。逆にこう言えるのは、光希には婚約者がいるからだ。
二次会と称してやって来た都内のバーカウンターで中学からの親友と並んで座り、思い出話や近況を語り合ったところで切り出すと、光希は目を丸くして聞き返してきた。
「うん。どうやったら結婚したいって思ってもらえるかな?」
我ながら柄にもなく変な質問をしていると思う。光希はジンフィズの入ったグラスを持つ手にぎゅっと力を入れ、うかがうように私を見てきた。
「どうしたの、未可子? え、その相手って前に別れた彼とは別の人? 新しい彼氏?」
「彼氏じゃないけど……」
早口でまくし立てる光希から自身のグラスに視線を落とす。口をつけたカンパリオレンジは思ったより苦かった。
「彼氏じゃないなら、誰か好きな人でもできたの? 付き合うを通り越して結婚なんて……?」
光希の質問はもっともだ。そして、私はそれにイエスとは答えられない。
やっぱり中途半端に相談するべきではなかった。後悔しつつごまかすようにグラスの縁に口をつけ、光希に話そうとした言葉と一緒にカンパリオレンジを飲み込む。
「変なこと言ってごめんね。彼と別れてから、いちいち付き合うのって面倒だなって思ったの。子どもも欲しいし、この際すっ飛ばして結婚もありだなって。二十代も後半になったし」
もちろん本心ではない。正直まだ二十六歳 は若いという感覚でいる 。逆にこう言えるのは、光希には婚約者がいるからだ。